こんにちは、タイラーです。
昨日の日本ダービーでは1000m通過が63秒2と、期待とは全く違うレース展開となりました。
本命にしていたアルアインには厳しいレースになってしまいましたが、過去10年の1000m通過タイムは以下の通りでした。
2017年 | 63秒2(2:26.9) |
2016 | 60秒(2:24.0) |
2015 | 58秒8(2:23.2) |
2014 | 59秒6(2:24.6) |
2013 | 60秒3(2:24.3) |
2012 | 59秒1(2:23.8) |
2011 | 62秒4(不)(2:30.5) |
2010 | 61秒6(2:26.9) |
2009 | 59秒9(不)(2:33.7) |
2008 | 60秒8(2:26.7) |
不良馬場で行われた2009年(ロジユニヴァース)2011年(オルフェーヴル)よりも遅い1000m通過タイムでしたね。
ハイペースを予想していた人にとっては「なんなんだよ!」というようなレースになってしまいましたが、それでも使えたデータや反省点を振り返ってみます。
日本ダービーで3着以内に入るための条件は?
過去10年の3着以内馬の日本ダービーまでの戦績を見てみると、傾向がハッキリしています。
2017 | 1着:レイデオロ(ホープフルS勝ち馬:2000m) | 2着:スワーヴリチャード(共同通信杯勝ち馬:1800m) | 3着:アドミラブル(青葉賞勝ち馬:2400m) |
2016 | 1着:マカヒキ(弥生賞勝ち馬:2000m) | 2着:サトノダイヤモンド(きさらぎ賞勝ち馬:1800m) | 3着:ディーマジェスティ(共同通信杯勝ち馬:1800m&皐月賞勝ち馬:2000m) |
2015 | 1着:ドゥラメンテ(皐月賞勝ち馬:2000m) | 2着:サトノラーゼン(京都新聞杯勝ち馬:2200m) | 3着:サトノクラウン(弥生賞勝ち馬:2000m) |
2014 | 1着:ワンアンドオンリー(ラジオNIKKEI杯勝ち馬:2000m) | 2着:イスラボニータ(東京スポーツ杯勝ち馬:1800m&共同通信杯勝馬:1800m&皐月賞勝ち馬:2000m) | 3着:マイネルフロスト(毎日杯勝馬:1800m) |
2013 | 1着:キズナ(毎日杯勝馬:1800m&京都新聞杯勝ち馬:2200m) | 2着:エピファネイア(ラジオNIKKEI勝ち馬:2000m) | 3着:アポロソニック 馬体重536kg |
2012 | 1着:ディープブリランテ(東京スポーツ杯勝ち馬:1800m) | 2着:フェノーメノ(青葉賞勝ち馬:2400m) | 3着:トーセンホマレボシ(京都新聞杯勝ち馬:2200m) |
2011 | 1着:オルフェーヴル(スプリングS勝ち馬:1800m&皐月賞勝ち馬:2000m) | 2着:ウィンバリアシオン(青葉賞勝ち馬:2400m) | 3着:ベルシャザール 馬体重542kg |
2010 | 1着:エイシンフラッシュ(京成杯勝馬:2000m) | 2着:ローズキングダム(東京スポーツ杯勝ち馬:1800m) | 3着:ヴィクトワールピサ(ラジオNIKKEI勝ち馬:2000m&弥生賞勝ち馬:2000m&皐月賞:2000m勝ち馬) |
2009 | 1着:ロジユニヴァース(札幌2歳S勝ち馬:1800m&ラジオNIKKEI勝ち馬:2000m&弥生賞勝ち馬:2000m) | 2着:リーチザクラウン(きさらぎ賞勝ち馬:1800m) | 3着:アントニオバローズ 馬体重512kg |
2008 | 1着:ディープスカイ(毎日杯勝馬:1800m) | 2着:スマイルジャック(スプリングS勝ち馬:1800m) | 3着:ブラックシェル 馬体重526kg |
条件1:1800m以上の芝重賞勝ち実績
基本的に、3着以内に入るのは1800m以上の重賞を勝っている馬です。
NHKマイルやアーリントン杯などの1600m重賞でのみ勝利実績があり、1800m以上の重賞では連対や複勝圏内にとどまっている成績の馬は、過去10年では3着以内に入っていません。
1800m以上の重賞実績がある=強い馬&結果を残してきた馬なので、2400mに距離が延びる日本ダービーでも好走しやすいようですね。
各馬をよく見て、1800m以上の重賞を勝っているのに人気のない馬がいたら穴馬の可能性があります。
重賞実績はめっちゃ大事!
条件2:馬体重510kg以上の馬
しかし例外があって、馬体重510kg以上の馬が複勝圏内に過去10年(2013年/2011年/2009年/2008年)で4頭入っています。
4頭/30頭なので確率は13%と低いですが、重賞実績のない馬を狙う場合は場体重が510kg以上あるか?をチェックする必要がありそうです。
馬体重が510kg以上ある馬=馬格のある馬といえるので、体の大きさが有利に働くのかもしれません。
ですが重賞実績がないだけあって、馬券内に来ても3着。ですから馬連・馬単を購入する人は切ってもいいですが、逆に3連系の馬券を買う人は3着に抑える必要があるでしょうね。
馬体重510kg以上の馬にも穴馬がいる可能性アリ!
2017年で言えば、穴人気していたのが1枠1番に入った皐月賞3着のダンビュライト。
この馬は重賞で馬券内はあっても重賞勝ちの実績がなく、当日の馬体重は464kg。このデータでいけば1枠1番とはいえ切れる馬でした。
そしてペルシアンナイトも皐月賞2着ですがアーリントン杯(1600m)での重賞実績しかなく、切れる馬でした。
5番人気だったサトノアーサー(466kg)や、先行して粘るか!?と思われたクリンチャー(472kg)も「1800m以上の重賞勝ち実績がない&馬体重510kg以下」というこのデータに該当していました。
日本ダービーでは選ばれた馬が集まるだけあって、重賞勝ち実績のある馬が多いですが、勝った重賞が何mだったか?も注目すべきポイントですね。
参考になりそうな日本ダービーでのデータ
続いては、これからの日本ダービーの参考になりそうなデータをいくつか記しておきます。
役に立ちそうなデータであれば活用してみてください。
皐月賞惨敗組の巻き返しは皐月賞での人気をチェック
皐月賞の勝ち馬や、複勝圏内に入った馬はどうしても気になります。
そんな馬は上記の1800m以上の芝重賞勝ち実績があるかどうか?を見てもらうとして、問題なのは4着以降の惨敗した馬たちの取捨選択です。
JRAのデータによれば、日本ダービーで3着以内に入った皐月賞組の大半には共通点があります。
皐月賞惨敗組はこの馬を狙え
皐月賞で5番人気以内、もしくは5着以内
2017年5月時に記載されていたデータでは、「皐月賞で4番人気以内もしくは4着以内が馬券になる。5番人気以下かつ5着以下だった馬は1頭も3着以内に入っていない」とありました。
ですがご存知のように2017年の日本ダービーは皐月賞で5番人気5着だったレイデオロが勝利したので、このデータは上記のように修正する必要があります。
2017年の日本ダービーで2着に入ったスワーヴリチャードは皐月賞では2番人気でしたよね。
皐月賞惨敗から巻き返す能力のある馬は、それまでに一定の評価を集めていた馬のみ。と考えた方がいいかもしれません。
やっぱり青葉賞組は勝てないジンクス継続中
「青葉賞勝ち馬はダービーを勝てない。」
このジンクスは2017年のアドミラブルが破るんじゃないか!?という期待が、人気にも表れていました。
アドミラブルは青葉賞勝ち馬にも関わらず、当日は1番人気で出走。結果は3着でした。
個人的には、青葉賞組を勝った馬かどうかでなはく、その前走にアザレア賞を使っている場合は割引が必要だと考えています。
アザレア賞から青葉賞を使って日本ダービーに臨んだ馬は過去10年で4頭います。
2017年 アドミラブル | アザレア賞1着 | 青葉賞1着 | 日本ダービー3着 |
2016年 ヴァンキッシュラン | アザレア賞1着 | 青葉賞1着 | 日本ダービー13着 |
2015年 レーヴミストラル | アザレア賞1着 | 青葉賞1着 | 日本ダービー9着 |
2009年 トップカミング | アザレア賞1着 | 青葉賞3着 | 日本ダービー9着 |
この他にもアザレア賞からダービーを目指したんだろうなというアザレア賞の勝ち馬はいますが、ダービーまで到達出来ていませんでした。
ご覧のように、アザレア賞を勝って青葉賞からダービーへと駒を進めた馬は全て惨敗しています。
アドミラブルに関していえば、ちょっと例外だったのかなと感じます。
アドミラブルが特殊な部分
- ダービー当日1番人気
- 8枠18番の大外枠
- ダービーまでの戦績では0.2秒以上の着差を付けての勝利
- 未勝利戦で早い時計
- 日本ダービーでは上がり最速
アドミラブルは1番人気に支持される程の馬であり、なおかつ8枠18番だったのが仇になったにも関わらず3着と健闘しているので例外と見ていいんじゃないかと思っています。それまでの戦績で着差を付けて勝っていることもありますし、未勝利戦での時計も早く、日本ダービーでは上がり最速をマークしていますよね。アドミラブルはこれから更に強くなる可能性を秘めているんじゃないでしょうか。
話を青葉賞のことに戻すと、もしかすると青葉賞を使うこともマイナスポイントですがそれ以前のレースでアザレア賞を使っているのは更にマイナスポイントとして作用しているのかな?と思います。
距離を見てもアザレア賞(2400m)青葉賞(2400m)日本ダービー(2400m)とただでさえ3歳牡馬にはキツい2400mのレースを1ヵ月と間隔を開けずに3度も使うわけですから、消耗度合を考えると本番の日本ダービーでは余力がほとんど残っていない状態なのかもしれません。
青葉賞のことには積極的に触れているサイトは多いのですが、アザレア賞について触れている内容を見たことがなかったので、今回は触れてみました。
アザレア賞に関してはあくまで主観ですけどね
ペースが遅すぎるのが分かっているはずなのに動けない日本人騎手
2017年の日本ダービーは、騎手というものの脆さみたいなのが如実に表れたレースでした。
先行する!と事前に宣言していながら実際走ってみると全然先行しない…というのはよくある話なのでいいのですが、逃げたマイスタイルの横山騎手がとにかく上手かった。
普段は「ポツン」と評されるヤラズに近いような騎乗が多いジョッキーですが、シレーッと超スローペースで後続を引っ張って行って、最後の勝負どころでは迷わずに最内を突いてきました。
この最内を突いた話をするには、ダービー前日のレースを振り返らなければいけないでしょう。
2017年の日本ダービーは5月28日日曜日に開催されましたが、前日の5月27日土曜日の芝レースは5レースありました。
前日の芝レースでの勝ち馬の馬番を見てみましょう。
4R 3歳未勝利 | 8枠18番(18頭立て) |
5R 3歳500万下 | 8枠14番(14頭立て) |
6R 3歳500万下 | 8枠16番(16頭立て) |
8R 4歳上500万下 | 8枠14番(15頭立て) |
10R 葉山特別 | 8枠12番(12頭立て) |
綺麗に8枠の馬ばかりが勝利しており、8R以外全て大外枠の馬が勝っていたんですね。
ちょっとあからさまに馬場を作り過ぎなんじゃないの?と思ったものですが、大外18番という一番不利な枠にも関わらず日本ダービーで1番人気に支持されたアドミラブルの人気は、これも少なからず影響したのかな?と感じました。
普通ないですよねこんなこと。そして、その影響か
馬場の外側が伸びる
という意識が各ジョッキーの中に少なからずあったように思います。
2017年の日本ダービーを見返すと分かるのですが、最期の直線に向いてからマイスタイルの横山騎手以外の多くの騎手は、馬場の真ん中から外側を回っています。
マイスタイルが4着に粘っているのは超スローだったことも関係するでしょうが、経済コースである最内を突いたことが大きいでしょう。
そして、実は前日と違って日本ダービー当日は、馬場の内側も外側も大して変わらなかったんじゃないかと思います。
この判断が出来るのはやっぱり横山騎手がベテランだからこそでしょう。一か八かだったのかもしれませんが、積極的な騎乗だったと思います。
ルメール騎手の判断も素晴らしかった
そして横山騎手の思惑を見透かしたように1000m以前の向こう正面から「ペースが遅すぎる」と押し上げていったルメール騎手の好判断。
他の騎手が動こうとしない中で、積極的で勇気のある騎乗だったと思います。
他の日本人騎手はというと、ルメール騎手が上がっていったのとは逆に下げる騎手もいたりして「?」という印象でした。
あまりにもペースが遅いということを分かっているジョッキーも絶対にいたはずですが、日本人の特に若手騎手は「少しでもミスをしてしまったら乗り替わり」というプレッシャーとも戦っているでしょうから仕方ないのかもしれません(中堅騎手でも「そんな所から届くわけないでしょ」という騎乗をしていましたが)。
藤田元騎手の「騎手の一分-競馬会の真実-」という本を読んだことがありますが、エージェント制について痛烈に批判されていました。
確かに、このエージェント制が変わらない限りは「失敗してもいいから人を育てる仕組み」が出来ないのでは?と感じますから、積極的な競馬をファンが期待しても難しいのかもしれません。というか失敗せずに馬を勝たせても次の重要なレースでは乗り替わり…ということが十分あり得るんですけどね…。
ジョーカプチーノに藤岡(康)騎手が騎乗した際に、大舞台であることで舞い上がってしまったのか、不良馬場にも関わらず1000mを60秒を切るハイペースで走ってしまったことがありました。馬が最後は歩いてる感じでしたよね。
でも、それってすごく人間味がある騎乗だと思います(それが良いとは言いませんが)。
2017年の日本ダービーを見ると、若手ジョッキーが消極的な競馬しか出来ずにいるのが良く分かります。流れのままに付いていくことでミスを最小限にする(見せる)ような…。
最終コーナーでは四位騎手もアルアインを外側に押しのけるほどの進路取りをしていましたが、それくらいの熾烈なポジション取りは勝負の世界だからするべきだと思いますし、馬だけでなく騎手も負けん気を出して欲しいなと感じます。
騎手の上下関係はあるでしょうが、とにかく積極的なレースが見たい!と思っているファンは僕だけじゃないと思う。
2017年の日本ダービーは、見ていて不完全燃焼だったというファンが結構いたんじゃないでしょうか?
2018年以降の日本ダービーはどうなるんでしょう。またもやスローペースになるんでしょうか?
個人的な見解だと、キタサンブラックのように強い逃げ馬がいない限りスローペース濃厚だと思います。
武豊騎手だったり2017年のように横山騎手だとスローペースにする理由が違ったものになりそうですが、他の騎手であればダービーという大舞台で先頭に立ってハイペースで飛ばして直線で沈むような失敗はできないし、したくないでしょうから。
願わくば、全ての騎手だけでなくファンも悔いの残らないレースを期待します。
2017年日本ダービーのまとめ
かなり特殊なレースになってしまったなという印象の2017年日本ダービー。
それでもデータとして2018年からも使えるデータが残ったのは収穫でした。
荒れないダービーが続いていますが、波乱を期待するのであればデータを活用してみてくださいね。